歴史的な背景や由来などがわかると、今までよりもより一層愛着がわいてきますね。
ここからはクッキーを作る「素材」についての知識を深めていきましょう。
小麦粉について
小麦はお米とほぼ同じような構造をしており、大きく分けて「胚乳」「胚芽」「外皮」の3部位に分けられます。
お米でいえば、私たちが白米として毎日のご飯でいただく部分が「胚乳」、精米の際に除去されるのが「胚芽」です。
ただし小麦は、お米のように粒だけを取り出すことができない穀物です。
したがって、小麦を粉にする際には、外皮がついたまま荒く砕き、それを「胚乳の断片(セモリナ)」と「外皮を含む胚乳の部分」とを分別するという作業を繰り返さなければなりません。
小麦粉になるのは、「胚乳」の部分ですが、中心部と周辺部では色や成分が異なります。
ですから、製粉する際に、小麦の粒のどこの部分を粉にしたかによって、同じ小麦粉でも品質が変わってくるのです。
そこで、純粋な「胚乳」の部分から作られた小麦粉と、周辺部の外皮なども混じっている小麦粉とをわかりやすくするために、日本では小麦粉に「等級」が設けられています。
小麦の等級
等級は5段階に分けられ、上から順に「特等粉・一等粉・二等粉・三等粉・末粉」の順で品質が落ちていきます。このうち、食用となるのは三等粉までで、末粉は工業用の接着剤などに用いられます。
特等粉は高級品ですので、お菓子はもちろんのこと、てんぷらなどにも使用されます。
私たちが一般的にお菓子を作るときに使うのは、一等粉あたりが多いでしょう。
(もちろん特等粉が使われる事もあります)
うどんや市販のパンなどは二等粉で、麩やかりんとう、駄菓子などには三等粉が使われます。
さらに日本の小麦粉は、もう一つ「粘弾性」によって分類されています。
これにより「薄力粉・中力粉・準強力粉・強力粉・デュラム粉」などの種類が生まれています。
パスタなどでよく聞かれる「デュラム セモリナ」とは、「デュラム小麦」という小麦の「胚乳の断片(セモリナ)」を使っている、という意味になり、品質の高い小麦粉でつくられたパスタということになります。
逆に、外皮の周辺部分から製粉された小麦粉は、色も悪く黒っぽいものとなります。
このように、たとえ同じ薄力粉でも等級が高いものはお菓子やてんぷらに、低いものは麩や糊などに使われることとなります 。
健康ブームにより、全粒粉という言葉を見かける機会もふえましたが、小麦粉の全粒粉とは、小麦をまるごと粉にしたものをいいます(別名グラハム粉)。
全粒粉は、皮や胚芽の部分も含まれるので粉の色はやや黒く、手触りはざらつき感があり、比較的粒子が荒いものも含まれます。
小麦を構成する成分をすべて含んでいるため、ビタミン類をはじめ、ミネラル・タンパク質・食物繊維などの豊富な栄養が一般の小麦粉よりも多く含まれており、その栄養価の高さから、全粒粉のパンやビスケット、シリアルなどは現在人気があります。
■Lesson3-2 まとめ■
・小麦粉は大きく分けて「胚乳」「胚芽」「外皮」の3部位に分けられる。
・小麦になるのは胚乳の部分。小麦の粒のどこの部分を粉にしたかによって、同じ小麦粉でも品質が変わり、日本には「等級」が設けられている。
・日本では小麦粉も「特等粉・一等粉・二等粉・三等粉・末粉」という五段階の等級を設けている。食用は三等粉まで。
・日本では「粘弾性」によって「薄力粉・中力粉・準強力粉・強力粉・デュラム粉」という分類がなされている。
・健康ブームにより栄養価が高い全粒粉も注目を集めている。
