美味しくて可愛いアイシングクッキーを作るには、もちろんクッキー選びも大切です。
小麦粉にバターや卵、牛乳、砂糖などを混ぜて練り、サクッとなるまで固く焼くクッキーは、国ごとにいろいろな種類があり、誕生から現在まで様々な発展をたどりながら愛され続けてきたお菓子の1つです。
こういった歴史的背景を知ることで、よりこれから学ぶ技術にも深みが出てきます。
実際に手を動かしていく前に、これからあなたがマスターするアイシングクッキーについてさらに深く知っていきましょう。
クッキー・ビスケット・サブレの違い
クッキーやビスケットなどの違いについて、時々話題に挙がることがあります。
日本では何となく区別されていますが、これらはどういった違いがあるのでしょうか。
アメリカではクッキー、フランスではサブレ、イギリスではビスケットと呼ばれているともいわれますが、基本的には小麦粉・バターなどを使って作られた焼き菓子のことを指します。
そのなかで名前に違いがあるのは、それぞれ日本に伝わってきた国が違うからと言われています。
■日本での主な区別■
・クッキー・・・糖分と脂肪分が全体の40%以上のものになります。グルテンの少ない薄力粉を使用し、砂糖や脂肪は多く、水分を少なめにし、短時間で練って生地を焼き上げるのが基本的な作り方です。サクサクとした歯触りでソフトビスケットと呼ばれることもあります。(全国ビスケット協会規定)
・ビスケット・・・糖分と脂肪分が全体の40%以下の物になります。型抜きして作られるものが多く、水分が少ないので固くパサパサして、空気穴があけられていることもあります。
また、ハードビスケットとソフトビスケットの2つに大きく分けられており、歯ごたえのしっかりとした針穴が特徴なものがハードビスケット、口当たりがさっくりとした柔らかいものをソフトビスケット(クッキー)と呼びます。
比較的グルテンが多い中力粉を使用し、砂糖や油脂を控えて水分を多めにし時間をかけて練ることにより、グルテンが形成されコシの強い生地になります。
これを薄く焼いて仕上げたものが代表的な例です。
・サブレ・・・糖分と脂肪分が全体の40%以上で、さらにクッキーよりも多く含まれているものになります。クッキーよりもバターやショートニングが多く、風味が良いことも特徴です。
■アメリカとイギリスでの違い■
・アメリカ・・・サクサクした焼き菓子を『クッキー』、柔らかいパンのようなものを『ビスケット』、塩味の焼き菓子を『クラッカー』と呼ぶ
・イギリス・・・『クッキー』という言葉がなく、ほとんどが『ビスケット』で統一。
ちなみに私たちがスコーンと呼ぶ事が多いお菓子でも
アメリカ=『ビスケット』
イギリス=『スコーン』
と呼び方が変わり、同じものを指しているのにこんな違いがあります。
(某チキンチェーン店では、ビスケットというメニューがありますね。)
■名前の由来■
クッキー・・・オランダ語で『小さいお菓子』『ケーキ』〈クーク〉という意味でケーキを焼くときに、温度や味をみるための試し焼きとして出来たのが始まりとも言われています。また、焼き菓子の総称として使われることもあります。
ビスケット・・・ラテン語で『二度焼かれたパン』(ビスコクトゥス・パーニス)という意味で、昔ヨーロッパでは、一度焼いたパンを乾燥させてもう一度焼くことで、日持ちのする保存食として作られたものがビスケットの始まりと言われています。軽くて保存性が良かったため携行食として、また長い航海には欠かせない食料でもありました。
サブレ・・・フランス語で『砂で覆われた』(サブレ)と、フランスの『サブレ=シュル=サルト』というフランスの街で生まれたお菓子という二つの由来があります。小麦粉に対してバターやショートニングの量が多く、サクッとした歯ごたえがあり、「砂」という名の通り、口の中に含むと砂のようにホロリと崩れていく食感が特徴です。
このほかにもスコットランド生まれのショートブレッド、イーストを使って発酵させた生地を高温で短時間に焼き上げたクラッカー、小麦粉の生地の間に油脂を入れ、生地と油脂が交互になるように幾重にも折りたたんで焼くパイ、強力小麦粉を使い生地をスティック状に成型して表面を糊化して焼く光沢が特徴のプレッツェルなど、様々な焼き菓子があります。
クッキーの歴史
このような焼き菓子は、古代ローマの時代には既に存在したといわれています。
また、詳細は未だはっきりしていないものの、栗の実を粉状にし、固めて焼き上げた「縄文クッキー」が東日本の縄文時代の遺跡から発見されていますので、ローマ人よりも日本人のほうが早くから「クッキー」というものに触れていた可能性もあります。
クッキーが現在のような形になったのは、12~13世紀ごろと言われています。
クッキー(cookie)の語源は、オランダ語の「ケーキ」の意味を持つ言葉だったようですが、それを裏付けるかのように、クッキーはケーキを焼く温度を見るために、試しに焼いてみたことが始まりだという説もあります。
ほかにも、お菓子屋さんが残った生地のあまりを焼いて売り出したなどという説もあり、こちらもその明確な経緯はわかっていません。
各国で愛されてきたクッキー
分類についても、歴史的背景についても、諸説あるクッキーですが、長い歴史のなかで多くの人に愛されてきたことだけは間違いありません。
クッキーは、数あるお菓子の中でも作り方がもっとも簡単で、材料も身近なもので作ることができます。
また、ココアを混ぜたり、ゴマやレーズンなどを混ぜたりと、いろいろな味のものを気軽に楽しむことができるのも、人気の理由の一つではないでしょうか。
初めて作ったお菓子が、クッキーだったという人も多いことでしょう。
これまで色々なクッキーを焼いてきた人は、アイシングクッキーという新しい世界もまた楽めることでしょう。
レパートリーが増えて、お菓子作りの腕も上がります。
反対にお菓子作りが初めてという人は、ぜひ、クッキー作りから始めてみてください。
クッキーは、子どもたちとも楽しく作ることができるるお菓子です。
クッキーを焼き、さらにアイシングで飾れば、きっとよい思い出になるでしょう。
レディーメイド(既製品)のお菓子にはない、ハンドメイドのお菓子の楽しさをぜひ、アイシングクッキーで味わってください。
■Lesson3-1 まとめ■
・クッキーなどの焼き菓子は各国様々な名前で呼ばれているが、小麦粉・バターなどを使って作られた焼き菓子を指す。
・日本での分類において、クッキー、ビスケット、サブレは区別されている。
・クッキーは、ケーキを焼く際の試し焼きが始まりとも、ケーキのあまり生地で焼き始めたことがはじまりとも言われている。
・ビスケットは「2度焼き」という意味をもち、保存食として大航海時代にとても重宝されていた。
・フランス生まれのサブレには2つの名前の由来がある。
・このような焼き菓子は古代ローマから存在したともいわれ、日本でも縄文時代の遺跡から発見されている。





