お砂糖コラム8 お砂糖いろいろ② 溶解度

砂糖の主成分は、「ショ糖」です。

「ショ糖」は、水によく溶ける性質を持っています。
そして水の温度が高くなればなるほど、さらによく溶けます。

たとえば、水100gの場合、20℃の水にはおよそ200g、60℃でおよそ300g、100℃の沸騰したお湯になると、500g近い砂糖を溶かすことができます。

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このように高い温度の水(早い話がお湯)によく溶ける砂糖ですが、砂糖を高温の水に溶かして濃い濃度のシロップを作り、そのまま放置しておくと、水の温度が下がるにつれて砂糖の結晶があらわれてきます。

水に溶けるショ糖の量は、前述のように温度によって大きく変化しますから、水の温度が下がれば、溶けきれなくなった砂糖がふたたび結晶化して現れる、ということですね。

たとえば、100g100℃の水に400gの砂糖を溶かし、20℃まで温度を下げれば、400g-200g(20℃の水に溶ける砂糖の量)で、理論上は200gの砂糖が結晶としてでてくることになります。
なんだか理科の実験のようですが、これはあくまでも理論上の話で、実際にはちょっと異なります。

実は熱を冷ます時の速さや、攪拌(かくはん)するかどうかなどの違いによって、結晶化するスピードや結晶の粒の大きさも変わってきます。

フォンダン・ドーナツの上にのっているフォンダンは、まさにショ糖のこの性質を利用して作られます。
煮詰めたシロップを静かに40℃ぐらいまで冷まして過飽和(すでに溶けきれる限界にきているにもかかわらず、結晶ができていない状態)にし、その後一気に攪拌して結晶化させると、この時の結晶の粒はとても細やかなものとなり、口当たりがなめらかになります。

これがフォンダンです。

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このように、お菓子作りはわずかな分量や温度の違いが結果を大きく左右します。
ちょっとした違いや油断で、失敗したり成功したりするものです。

お菓子というのは、さまざまな化学変化の集合体と言えるかもしれませんね。