Lesson4-3 着色料について

色とりどりのアイシングクッキーやケーキ。
魅力的に感じる反面、あまりに色が濃いものを見ると、「食品をこんな色に染めて大丈夫なの?」という心配をしている人も多いのではないでしょうか。

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ここではそんな様々な色を作る着色料について学んでいきます。

 

着色料とはなにか

海外のサイトの作品として出てくるものは、原色を組み合わせた派手な印象の作品も少なくありません。

日本人は特に、素材そのものが持つ色彩を活かして、美しく盛り付けをする日本料理の文化を身近に感じて育っているため、そのような原色の色使いのお菓子には戸惑う方も多いでしょう 。

また日本は天然着色料の昔ながらの知恵も有しており、クチナシや紫芋、紅花やヨモギ、抹茶などの食品を使う文化を持つため、天然の着色料にこだわりたい方も多いです。

食品に用いられる着色料は、「食品衛生法」に定められる着色料で、「食用タール色素」と「それ以外の着色料」とに分けることができます。

■食用タール色素■

「(食用)○色□号」という表示になっているものです。
これらはお菓子はもちろん、漬物、魚介・畜産加工品にも用いられており、全部で12種類あります。

 ■それ以外の着色料■

10種類ほどあり、原料は植物や動物です。

・植物由来のもの
たとえば、美しい黄色を出す「梔子の実」から抽出して加工したものが「クチナシ色素」です。
日本では、昔から栗きんとんなどの発色に用いられてきましたから、利用したことがある人も多いでしょう。

同様に鮮やかな黄色といえば、カレーの色、ウコン(ターメリック)も世界中で利用されてきました。
ウコンは、ショウガ科の植物の根です。
二日酔いに効く、として爆発的なヒット商品となった飲料もあり漢方薬の一つでもあります。
「ウコン色素」は、このウコンから抽出したものです。

また、美しい赤や黄色を出す「紅花」からは、「ベニバナ色素」が作られます。
日本では、昔から染物はもちろん、口紅や和菓子にも用いられてきました。

また近年製菓材料店には、色の濃い果物をパウダー状にして着色ができるようにしたパウダーなども販売されています。
ラズベリーのピンク、ブルーベリーの紫、カカオの茶色など自然は素敵な色であふれています。

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・動物由来のもの
上記のように植物から抽出されるものもありますが、動物から抽出されるものもあります。
「コチニール色素」は、中南米などのサボテンに寄生するエンジムシというカイガラムシ科の昆虫が原料です。
オレンジ色~赤紫色を示し、カンパリというリキュールの着色に利用されてきました。

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他にも、カビの一種の「紅麹」や葉緑素の「クロロフィル」などからも、着色料として色素が作られています。

 

どの着色料を選ぶ?

そういわれると、何となく天然素材のほうが体にいい気がしますが、「タール系は害になりますが、天然の素材なら安全安心です。」という話ではありません。
着色料をはじめ、本来動物としての食料摂取において添加物」は人体に必須のものではありません
天然着色料でも、コチニール色素を大手コーヒーチェーン店が使用していた事実が問題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
体質によってはアレルギーなどを引き起こすこともありますし、発がん性が疑われるものもあることも事実です。

ですから、極論を言えば摂取しないほうが良いという方もいるでしょう。
砂糖も然り、こうした着色料も「むやみやたらに」摂取しすぎることは避けるべきでしょう。

特に、子どもの発育には多かれ少なかれ影響はあると考えられていますから、選択できない小さなお子様には保護者の十分な注意と、正しい知識が求められることは言うまでもありません。

しかし人類進化の過程で、私たちの食事は「餌」ではなく「文化」となりました。人口を養うためには、食料を長期保存可能な状態にすることが不可欠です。そこで、食品をさまざまに加工する方法が生み出されました。砂糖や塩などが食品添加物として利用されるようになります。

そうしたなかで、食欲を増進させるために、あるいは特別な日を祝うために、「食品を美しく彩る」という習慣も生まれました
こうした習慣の一つとして、着色料の利用があげられます。
美しい料理やお菓子によって、より生活に彩が添えられるということもまた事実ですから、正しい知識と節度をもって利用していきましょう。

 

アイシングクッキーで使用する着色料について

日本で販売されている着色料は、すべて「食品衛生法」によって厚生労働省が調査し、微量の摂取であれば問題はないという調査結果のもとに、販売・使用が許可されています。
さらに、アイシングに用いられる着色料は、ほんのわずかな量で色づくので、大量摂取の心配はないでしょう(1回で1瓶を使うようなことはほとんどありません)。

クッキーをアイシングで美しくデコレーションしても、食品として摂取される量は、常識的に考えてごく微量なものですから、健康に被害が及ぶほどではないと推測されます。

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したがって、意味もなくむやみに恐れる必要はありません。
しかし、他の全ての食品同様、リスクはゼロではないことも頭に入れて、正しく楽しく使うよう心がけていきましょう。
もしどうしても気になる方は、安心できる素材のみを研究、使用し作る事で、それはあなたの唯一無二の特技になります。
これからの時代、本当に自分が求めているものを追求できることが、好きを仕事にする上での重要なポイントになることもあります。

こういった事実を正しく理解した上で取り入れ説明できることも、アイシングクッキーマイスターとして大切なポイントです。

 

■Lesson4-3 まとめ■
・着色料には「食用タール色素」と「それ以外の着色料」とに分けられる
・日本では古来より植物由来の着色料が用いられ、クチナシや紫芋、紅花やヨモギ、抹茶などそのまま食品として利用できるものを着色に用いてきた。これらは現代でも安全とされるものが多い。
・天然着色料にも様々なものがあり、コチニール色素など動物由来の物の中には、企業が使用を自粛し始めているのものある。
・添加物は現代の私たちの生活には欠かせないものになっている。正しい知識をもった上で生活や食を楽しんでいくことが大切。