ご飯やパンをよく噛んで食べると、甘みを感じます。
これは、デンプンが糖に変化するため、というのは学校の理科の時間で学びましたね。
デンプンは炭水化物から得られるものなので、ご飯を食べても、ビールを飲んでも、結果的には同じ「糖」という栄養素を摂取することになります。
また、同じココアでも、ホットで飲む時とアイスで飲むときとでは、甘みの感じ方が違います。
甘みというのは実に不思議なものですね。
では、この「糖」という成分について見てみましょう。
糖類はいくつかの種類に分けられます。
ここでは、単糖類と二糖類についてみてみましょう(下記表)。
まず、単糖類には、ブドウ糖と果糖があり、これらは、いずれも果物やハチミツのなかに含まれている糖です。
ショ糖は、二糖類に属し、単糖類のブドウ糖と果糖が1個ずつ結びついてできています。
このショ糖をたっぷりと安定的に含んでいるのが砂糖、つまりサトウキビや甜菜の甘み成分なのです。
二糖類はほかにも、水飴のなかに含まれる麦芽糖や、牛乳などの哺乳類のミルクに含まれる乳糖があります。
これら、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖のうち、「還元基」を持たないものは、ショ糖だけです。
少し難しい言葉ですが、「還元基」というのは、物質の構造のことです。
この「還元基」という構造を持っていると、溶液中で非常に化学反応を起こしやすくなります。
ケーキを焼けば褐色のおいしそうな焼き色がつきますね。
また、甘く香ばしい香りもしてきます。
こうした変化を引き起こす反応を「メイラード反応」といいますが、この反応がおきるのは、「還元基」という構造をもっている糖の働きなのです。
ですから、同じケーキでも砂糖ではなくハチミツを入れると、より褐色の色合いに焼きあがります。
さらに、この「還元基」の反応によって甘さの度合いも変化します。
しかし、ショ糖はブドウ糖と果糖の「還元基」同士が結合しているので、構造の中に他の物質と反応できる「還元基」を含みません。
ですから、ショ糖は他の物質と反応しにくく、甘さにも高い安定性があります。
このように構造上安定しているショ糖の成分を多く含むのが、サトウキビや甜菜から作られる砂糖なのです。

